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仕事で信頼を得る為にはメモ取りが効果的な理由


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上司や先輩に「メモを取れ」と言われた経験がある方も多いのではないでしょうか。

多くの方の育成や、マネジメントを行って来た経験上、成長が早いと感じた方や、昇格や昇進が早い方、この人はできると感じた方は、しっかりとメモを取る傾向が強いと感じています。
逆に、成長の遅い方や、ずっと昇進や昇格ができない方、重要なタスクを任せられないような、信頼できない方を見ていると、メモを取らない人が多いです。

これらはもちろん偶然ではありません。メモを取るというのは、ビジネスにおいて信頼を得る為の非常に大きな効果があります。
そこで今回は、ビジネスの場面でメモを取る事で生まれる効果とそれがなぜ信頼に繋がるのかを、私の最近の経験を交えて記載しました。
メモを取っていない方でなかなか周りからの信頼が得られないと悩んでいる方は、ぜひ参考にして、信頼される人材を目指してみてください。

信頼に関係するメモの効果

メモを取るだけで信頼が得られやすくなると聞くと、冗談のように感じる方もいるでしょう。もちろん、単純にメモを取るだけで信頼が得られると言うような、直接的な話ではありません。

基本的にメモを取る内容については、自分が知らない事や、忘れそうな事が中心となります。
特に、自分が知らないことについては、誰かから教えを受け、その内容をメモに取っていく事となるでしょう。この場合、例え自分が教えられた内容を忘れてしまっても、後で見返す事により思い出せますよね。
この単純明快な事実が、信頼を高める効果を生むことに繋がります。

  1. 仕事を着実にこなせるようになる
  2. 他人の時間を奪わなくなる
  3. 情報整理能力が高くなる

順番に説明していきます。

仕事を着実にこなせるようになる

メモを取った内容は、書いた時点から、情報が勝手に消えていったり、曖昧になったりしていきません。

「エビングハウスの忘却曲線」によると、人の脳は1時間後であっても44%しか聞いたことを記憶していません。更に1日後では33%、1ヶ月後では21%しか記憶に残らないという実験結果を得ています。もっともこの実験では、意味の無い文言や文字列を記憶させたものですので、興味がある情報については、より記憶に残りやすいと言えますし、関連する情報をどれだけ理解できているかによっても、結果は異なります。
しかし、自分が知らないことを教えて貰う場面を想定した場合、自分自身にとっては未経験の文字列を頭に入れることとなりますので、そう大きくは外れないでしょう。
従って、人の記憶は意外と曖昧で、自分自身が覚えていると思っても、実は覚えていないと言うことがかなりあると考えられます。

そして大きな問題は、こうした曖昧な認識や理解を元に仕事を進めてしまう方が、結構多いと言うことです。もう一度聞くのが恥ずかしい。自分の認識は正しいはずだという考えだけで行動し、結果、大幅な手戻りや大きな失敗に繋がり、周囲のメンバーに迷惑を掛けることになります。

一方、取ったメモは残り続けますので、後で見返したときに、正確に思い出せます。また、メモを取る行為は、手を動かして文字に起こすというアウトプットの作業ですので、メモを取らない場合に比べると記憶に残りやすい状態となります。その為、説明を受けた際の内容をより詳細に思い出すことができます。
そして、正確に思い出せれば、曖昧な記憶や間違った認識で仕事を進める危険性は減りますので、手戻りや抜け漏れもなく、着実に仕事をこなせるようになります。

この着実に成果を上げるという事が非常に重要です。
というのも、信頼は過去積み上げた実績からしか生まれてこない為です。そして、着実に仕事をこなしていれば、よりハイレベルな仕事も依頼される事になり、周囲の評判が上がり、信頼が更に高まります。

他人の時間を奪わなくなる

メモを取った内容は、消したり捨てたりしない限り残ります。
誰かに教えて貰った内容を忘れても、そこにメモがある限り、再度見直せば思い出すこともできます。自分一人でサッと見直すだけですので、作業時間もそれほど必要ありません。

他方、メモを取らない人は思い出したくても思い出せません。
そして、忘れたままでは仕事が進まないので、再度、教えて貰った人にお願いして聞くことになります。
では、もう一度教えて欲しいと言われた相手はどんな印象を持つでしょうか。

余程の大会社でない限り、殆どの上司や先輩は、教育に専念している訳ではありません。
他の仕事でも成果を求められつつ、教育にも携わっていますし、教育しているから、他の成果を出さなくても良いという甘い会社は殆ど無いです。
その為、単なる説明だとしても、そこに費やした時間は、説明を受ける方が感じている以上に貴重です。成果を出すための時間や、プライベートの時間を削って対応しているので、少なければ少ないほど良いです。
そんな中、一度説明していることを再度説明して欲しいと言われたら、どう感じるでしょう。

「私の時間は、そんなに重要だと思われていないのかな。」
「説明しても、また時間が経ったら忘れて無駄になりそうだな。」
「メモも取っていないと言うことは、真剣に仕事に取り組んでいないな。」

このように感じる人は多いです。そしてこんな状況が何回も積み重なると、「もうこの人には教えても無駄」と認識され、その後挽回しようとしても、周囲の協力を得られ無い状況に陥ります。
更に、こうした個人が注意してメモを取っていれば回避できる状況にかかる時間が多ければ多いほど、上司からは時間(≒人件費)を無駄に使う人と認識され、あまり重要ではなく、達成してもそれほど評価されない仕事を回される事が多くなります。

こうなるともはや、信頼を取り戻すことすら困難な状況になりますので、相手の時間を奪わないためにも、メモを取るのは最低限のマナーとすら言える行為と言えますし、最低限のマナーすらできていない人が信頼されることはありません。

情報処理能力が高くなる

メモを取るという行為は、忘れそうなことを書き留める以上の効果があります。
ここでは私が実際に感じた、3つのポイントを説明します。

まずは情報の選別能力です。メモを取る場合、説明された言葉をそのまま記述していくわけではなく、ある程度情報を整理して記述していく事で、受けた説明から重要な情報や単語を抜き出す能力が磨かれます。
特に、説明が会話で行われるような場合、話された全てをメモに取る事はかなり難しいです。従って、説明から必要な内容を選別して記載する必要に迫られますので、否応なく能力が磨かれていきます。

次に情報の整理能力です。会話で情報の共有を受ける場合によくありがちなのが、話題があちこちに飛びながら進んでいくケースです。このような場合、単純に話の流れのままでメモを取っても、後で見返したときに訳のわからない内容になります。
従って、雑多な情報を、後でわかりやすい状態にまとめていくという、情報の整理能力が鍛えられていきます。

最後に、情報の表現力です。メモを取っていると、後でわかりやすいように、近しい情報は近い場所に書いたり、並列情報を箇条書きでまとめたり、順番があるものは矢印や番号を使って書いたりと、多くの表現や工夫を行います。
この経験を積み重ねると、どうやれば情報が見やすいかという知見が蓄積してきますので、資料をまとめる際にも、わかりやすくまとめる事ができるようになります。

以上の各能力は、いずれもビジネスシーンにおいて、ものすごく重要かつ、職種や業種を問わずに活用できるポータビリティ性のあるスキルとなります。
そしてこうした基本的なスキルが高い人であれば、与えられた業務を適切に把握して遂行することができますので、信頼を得やすい状態となります。

積極的にメモを取りましょう

以上のように、メモには大きな効果があります。
特に、私がマネジメントしている業務では、覚えることが非常に多いため、メモを適切に取っているメンバーと、メモを取っていないメンバーでは、成長速度も、信頼性も全く異なります。

もちろん、最初から上手にメモが取れる人ばかりではありません。私も下手な方です。
ですが、繰り返しメモを取っていくことで、メモを取る技術自体が向上します。メモの取り方を調べるくらい熱心な方であれば、ほんのわずかな時間で成長できるはずです。

単純であるにもかかわらず、とてもメリットが多い「メモを取る」という行動。
ぜひ積極的に挑戦して行きましょう。